シカゴ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --RMBキャピタル(以下「RMB」といいます。)は、2020年7月に公表された伊藤忠商事株式会社(コード番号8001、東証プライム、以下「伊藤忠」といいます。)による株式会社ファミリーマート(コード番号8028、東証第一部(当時)、以下「ファミリーマート」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)において、公正な手続きがなされず買付価格(一株当り2,300円)が不当に低く抑えられたとして、東京地方裁判所において株式買取価格決定の申立て(以下「本裁判」といいます。)を行ってまいりました。
その結果、東京地方裁判所はRMBの主張を認め、本公開買付けの価格よりも高い一株当り2,600円を買取価格(「公正な価格」)と決定しました。
東京地方裁判所は上記の決定をするにあたり、本公開買付けは、特別委員会が十分に機能しておらず、一般に公正と認められる手続きにより行われたものではないため、本公開買付け価格(一株当たり2,300円)をもって「公正な価格」とすることはできないと判断しました。
その理由として、東京地方裁判所は、
(1)本公開買付けの交渉をするにあたりファミリーマートが設置した特別委員会が、交渉過程において事前に取り決めていた交渉条件を数度にわたり合理的な理由なく引き下げた点を重視しました。
すなわち、伊藤忠がファミリーマートに対し本公開買付けの価格を一株当たり2,300円とする提案をしたことに対し、特別委員会は同提案価格を伊藤忠が引き上げない場合には、本公開買付け等の取引に係る協議を終了することを伝えるとの交渉方針を有していました。ところがその後、特別委員会は、十分な検討をすることなく当該交渉方針を放棄し、なし崩し的に伊藤忠及びファミリーマートの経営陣の意向通り公開買付け価格の切り下げに応じてしまいました。
また、
(2)特別委員会が、交渉方針を転換した理由が、①伊藤忠が同社代表取締役会長の個人的な「意向」のため提案価格(一株当たり2,300円)を引き上げない姿勢でいたこと、及び、②伊藤忠出身者である当時のファミリーマートの会長及び社長が非推奨意見で本公開買付けを実施しても悪影響は生じない旨の意向を表明していたこと、であったことからも、裁判所は特別委員会が機能していなかったと評価しています。
以上の東京地方裁判所の判断を通じて、本公開買付けにおいて、ファミリーマートの支配株主であった伊藤忠の経営陣、および当時のファミリーマート経営陣が、ファミリーマート少数株主の利益を全く顧みることなく自らの便益のみに固執したことが改めて浮き彫りとなりました。日本を代表する企業という社会的立場を忘却した両社経営陣の徹底した利益至上主義には慄然とせざるをえません。
また、本裁判の決定は、本公開買付けにおいて特別委員会が表明した「公開買付けには賛同するが(公開買付け価格が低いため)応募推奨はしない」という意見の合理性を明確に否定したものとRMBは考えます。公開買付け価格という基本的な条件は公開買付け取引と一体不可分なのは自明であり、公開買付け価格に賛同できない以上、特別委員会は本公開買付けに反対すべきだったとRMBは考えます。
RMBは、本公開買付けにおいて一般に公正と認められる手続がなされたとはいえないと認定した東京地方裁判所の決定趣旨を評価するとともに、今後、日本における公開買付けが真に公正な手続きに則って行われ、特別委員会が毅然とした意見表明を行うことによって少数株主の利益が十分に保護されることを期待します。また今後は、東京地方裁判所によって算定された株価の公正性・妥当性について精査したうえで対応をして参ります。
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以上