3Dインベストメントは、サッポロの継続的な業績不振を受けて、社外取締役に対して幅広い株主からの意見聴取を行い、それを新経営計画に反映するように要請

東京--()--(ビジネスワイヤ) -- 3D OPPORTUNITY MASTER FUNDの資産運用会社である3D Investment Partners Pte.Ltd. (以下、3D Investment Partners Pte. Ltd.及び3D OPPORTUNITY MASTER FUNDのいずれか又は両社を総称して「当社」)は、サッポロホールディングス株式会社(2501.T、以下「サッポロ」)の社外取締役に対して送付した2022年11月3日付け書簡(別紙。以下「本書簡」)を公開いたしました。

当社は、サッポロの大株主の一社として、サッポロの経営陣や社外取締役の皆様と、企業価値向上に向けた建設的な対話を行って参りました。当社は、サッポロの企業価値向上を実現するためには、サッポロの社外取締役が同社株主の皆様の意見を十分に理解した上で、サッポロの既存の経営方針の検証を主導することが必要不可欠と考えておりますが、サッポロの社外取締役には、その必要性をご理解いただけておりません。その原因は、サッポロの社外取締役が、当社を含む株主の皆様が共通して有する意見・要望を十分に理解していないことによるものと考えられます。

本書簡は、その対話の一環として、サッポロの社外取締役に対し、サッポロの主要な株主である機関投資家の皆様と面談を行い、透明性を持った方法で、サッポロの経営課題、市場評価が低い原因、新中期経営計画において解決すべき課題、当該計画に入れ込むべき施策、社外取締役に期待している役割等について意見・要望を聴取し、株主の皆様の意見・要望を十分に理解したうえで、それらを新中期経営計画に過不足なく適切に反映させること等を求めるものです(以下「本要望」)。

当社は原則として、非公開で投資先企業と対話することが、企業価値を創造する上で最も効果的な方法であると考えております。しかしながら、投資先企業の企業価値向上のため、透明性を持った開示の必要性があると判断した場合や、公に問題を提起する緊急の必要性があると判断した場合においては、例外的に当社の意見を公的に表明することとしております。

サッポロに関しては、後述のとおり、既存の経営方針の延長上の経営ではその中長期的な企業価値成長は期待できません。それにもかかわらず、サッポロの社外取締役は、当社からの既存の経営方針の検証を主導してほしい旨の要望を一貫して拒絶していることから、サッポロが本年中に発表予定であるとする新中期経営計画には株主の要望が過不足なく適切に反映されないおそれがあります。そのため、当社は、サッポロの企業価値の向上のために「公に問題を提起する緊急の必要性がある」と判断し、当社の意見を公的に表明することにいたしました。

以下、この点に関する当社の考えをご説明いたします。

サッポロの中長期的な企業価値成長のためには、既存の経営方針の抜本的な見直しを行う必要があること

 以下に述べるとおり、サッポロの業績は長期間にわたり低迷しております。すなわち、サッポロは、競合他者に比して明確にパフォーマンスが劣っております。

  • サッポロの過去5年間の平均ROEは僅か2%であり、グローバル競合の全社平均の13%、キリンホールディング株式会社(以下「キリン」)やアサヒホールディングス株式会社(以下「アサヒ」)の14%、11%を大きく下回ります1
  • サッポロの過去5年間の酒類事業の平均営業利益率は僅か1%であり、グローバル競合の全社平均の13%、キリンやアサヒの12%、10%を大きく下回ります2
  • サッポロの過去15年間の株主総利回り(Total Shareholder Return)は、-7%であり、グローバル競合の全社平均の226%、アサヒやキリンの181%、88%を大きく下回ります3

 そして、過去の経営目標はほぼすべて達成できておりません。

  • サッポロの過去15年間に出した中期経営計画について、売上高は15カ年中一度も目標値を達成できておりません。営業利益は15カ年中一度のみの達成に留まります。3か年以上の中期経営計画において、最終年度の目標値は、売上高、営業利益ともに、一度も達成されておりません4
  • 買収防衛策の導入直後である2007年に公表した「サッポログループ新経営構想」において、2016年までに売上高6000億円を達成する等の連結ベースでの経営目標を掲げておりましたが、これも全て未達成に終わっております。

以上のことから、当社といたしましては、既存の経営方針の延長上に中長期的な企業価値成長は期待できず、その抜本的な見直しが必要であることは明白であると考えております。

当社は合理的な根拠のある企業価値向上策を提案していること

当社は、このような事態を受けて、2022年9月、サッポロの取締役会に対して、200ページ超の企業価値向上策(以下「3D企業価値向上策」)を提案しました。

3D企業価値向上策は、サッポロに関する公開情報等を収集・分析した結果に基づき、「コーポレートガバナンス・コード」や、同コードの趣旨を踏まえて策定された各種ガイドラインなどの考え方に則って株主の視点から作成したものであり、合理的根拠のあるものです。

当社といたしましては、「合理的根拠のある具体的な株主提案等」を受領したサッポロにおいては、既存の経営方針の抜本的な見直しを真摯に検討する責務があるものと考えております(事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~(事業再編ガイドライン)4.3)。

社外取締役がサッポロの既存の経営方針の検証を主導するべきであること

当社は、取締役会に対する3D企業価値向上策に関する提案と併せて、同年10月、取締役会に対する3D企業価値向上策に関する提案を説明した上で、サッポロの社外取締役が、3D企業価値向上策とサッポロ経営陣において策定中の新中期経営計画の比較検証を含む、既存の経営方針の検証を主導することが必要不可欠であり、またそれは社外取締役にとっての責務であるとして、その旨を要請いたしました。

かかる要請は、以下の観点からも合理的な根拠のあるものと考えております。

  • 「コーポレートガバナンス・コード」や、同コードの趣旨を踏まえて策定された各種ガイドラインにおいて、上場企業における経営方針の検証においては、社内のしがらみに囚われない社外取締役が主導することが求められていること5
  • とりわけサッポロにおいては、これまで既存の経営方針の抜本的な見直しを行うことができず、過去一貫してサッポロ自身が掲げた業績目標を達成できていないため、外部視点での経営方針の検証が必須であるところ、それを実現できるのは既存のバイアスや過去の成功体験に囚われない社外取締役しかいないこと。

当社は、サッポロの社外取締役に対して、書簡を送付するなどして、既存の経営方針の検証を主導するよう繰り返し要望いたしましたが、サッポロの社外取締役は、現在に至るまで、当社の要望に対して一貫して拒絶の意思を示されております。

エクスペクテーション・ギャップの解決へ向けた取り組みが必要であること

当社は、こうした社外取締役の役割に対するエクスペクテーション・ギャップの根本的な原因は、社外取締役と株主との経営課題等に関する議論が、質と量の両面から不足していることにあると考えております。

すなわち、当社は、サッポロの社外取締役において、サッポロの株主から社外取締役に対する情報のインプットが欠けているが故に、コーポレートガバナンス・コードや各種ガイドラインに沿った当社の要望が、株主が共通に有する要望ではなく、当社独自の要望に見えてしまっているのではないかと推測しております。

そこで、かかる株主との経営課題等に関する議論の不足を解消するため、当社は、サッポロの社外取締役に対して、本書簡にて、透明性の確保された方法による下記の対応を行っていただくことを求めるに至りました(本要望)。

  1. 新中期経営計画を発表する前に、社外取締役が、貴社の株主である主要な機関投資家のポートフォリオ・マネージャーと面談し、貴社の経営課題、市場評価が低い原因、新経営計画において解決すべき課題、入れ込むべき施策、社外取締役に期待している役割等について、幅広く意見・要望を聴取する(社外取締役ガイドライン6.1・事業再編ガイドライン3.2.2)
  2. 新中期経営計画発表時には、株主からの意見聴取の結果についても取りまとめ、社外取締役が連名で、株主に説明する(コーポレートガバナンス・コードの原則5-2・社外取締役ガイドライン6.2・CGSガイドライン別紙1の8)
  3. 少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させることが期待される者として、それらの要望を新中期経営計画に適切に過不足なく反映させる(コーポレートガバナンス・コードの原則4-7(i)(iv)・社外取締役ガイドライン2.1.2及び6.1・事業再編ガイドライン3.2・CGSガイドライン別紙1の2.2.4)
  4. 新中期経営計画発表時には、社外取締役がその場に同席し、社外取締役としての見解を株主に説明する(コーポレートガバナンス・コードの原則5-2・社外取締役ガイドライン6.2・CGSガイドライン別紙1の8)

最後に

以上のとおり、当社は、サッポロの企業価値向上を実現するためには、サッポロの社外取締役が主導して、既存の経営方針の検証を行うことが必要不可欠と考えております。また、その実現のためには、サッポロの社外取締役が、幅広い株主の皆様と面談して、株主の皆様が考えるサッポロの経営課題、市場評価が低い原因、新中期経営計画において解決すべき課題、当該計画に入れ込むべき施策、社外取締役に期待している役割等について意見・要望を聴取し、十分に理解すること、そして、それを過不足なく適切に新中期経営計画に反映させることが、サッポロの企業価値向上を目指す上で、必要不可欠であると考えるに至っております。

引き続き、当社はサッポロとの建設的な対話を継続して参りますが、株主の皆様から適切な情報のインプットがありさえすれば、サッポロの社外取締役は、必ずや既存の経営方針の検証を主導し、サッポロの企業価値向上に邁進していただけるものと当社は確信しております。

3D Investment Partners Pte.Ltd.について

当社は、2015年に設立された、シンガポールを拠点に日本特化型のバリュー投資を行う独立系資産運用会社です。複利的な資本成長を通じた中長期的な価値創造を投資哲学とし、長期的なリターンの達成という共通の目的を共有する経営者とのパートナーシップを重視しております。

免責事項

本プレスリリースは、情報提供のみを目的としたものであり、いかなる証券又は投資商品についても、その購入又は販売を勧誘するものではなく、専門的助言もしくは投資助言ではありません。また、本プレスリリースは、目的のいかんを問わず、いかなる人もこれに依拠することはできず、投資、財務、法律、税務その他のいかなる助言とも解されるべきではありません。

3D Investment Partners Pte. Ltd.及びその関連会社並びにそれらの関係者(以下、「3DIP」)は、昨今のサッポロの株価はその本源的価値を反映していないと考えています。3DIPは、購入時点において、サッポロの有価証券は過小評価されており、魅力的な投資機会を提供しているという独自の考えの下、これらの実質的所有権及び/又は経済的利益を購入しており、また、将来においても実質的所有権を有し、又は経済的利益を有する可能性があります。3DIPは、サッポロに対する投資について、継続的に再検討を加える予定であり、様々な要因– 例えば、サッポロの財政状態及び戦略的方向性、サッポロとの協議の結果、全体的な市場環境、3DIPが利用可能なその他の投資機会、サッポロの有価証券の購入又は売却を3DIPの希望する価格で実行しえる可能性等 - に応じて、いつでも(公開市場又は非公開の取引を通じて)、関係法令で許容される方法を限度として、自由に、売却し、購入し、カバーし、ヘッジし、又は投資(サッポロの有価証券への投資を含みます)の形態や実態にかかるその他の変更を実施する可能性があります。また、3DIPは、そのような変更等を他者に通知する義務の存在を明示的に否定します。

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3DIPは、サッポロ及びサッポロのグループ会社の事業や資産を第三者に譲渡又は廃止することについて、3DIPが、自ら又は他の貴社の株主を通じて、貴社の株主総会で提案することを意図するものではありません。また、3DIPは、サッポロ及びサッポロのグループ会社の事業の継続的かつ安定的な実施を困難にする行為を行うことを目的とする意思を有していません。

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1 Bloombergを参照。グローバル競合は下記の企業を指す: AB InBev, Asahi Group, Beer Thai (Chang), Carlsberg, CCU, China Res. Snow Breweries, Constellation Brands, Diageo (Guinness), Efes Group, Heineken, HiteJinro, Kirin, Molson Coors, Olvi Group, Pearl River, Royal Unibrew, Saigon Beverage Corp. (SABECO), San Miguel Corporation, Tsingtao Brewery Group, United Breweries Group, Yanjing
2 Bloombergを参照。サッポロ、アサヒ、キリンの3社は酒類関連事業のみ、その他企業は全社の数値。キリンについては、酒類関連事業の数値が個別で開示されているFY2018-FY2021を対象とした。
3 Bloombergを参照。配当を再投資する前提のTSRとし、期間は2007年11月1日から2022年10月31日までとした。2007年11月1日時点で上場していない場合は、Bloombergで取得できる最長期間のTSRを取得。
4 サッポロの過去開示資料を参照。各年の計画値は発表時期が最も古いものを対象とした。
5 具体的には、以下の観点から社外取締役の役割が重要視されております。

  • 上場企業における事業ポートフォリオの議論については、社内のしがらみに囚われない立場にある社外取締役が主導すべきとされております(社外取締役の在り方に関する実務指針(社外取締役ガイドライン)2.1.2・事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~(事業再編ガイドライン)3.2.1・グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(グループガイドライン)3.2)。
  • 株主の意見が持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に有用となりうる場合には、社外取締役が取締役会の議論に反映すべきとされております(コーポレートガバナンス・コード原則4-7(i) (iv)・社外取締役ガイドライン2.1.2及び6.1・事業再編ガイドライン3.2・コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)別紙1の2.2.4)。

 

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