東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 「 ヒアルロン酸が豊富な軟骨前駆細胞や間葉系幹細胞を含む軟骨細胞を培養するという新しい技術により、膝関節損傷の細胞治療が新たな段階を迎えた」という江戸川病院院長の加藤正二郎医師らによる論文がThe KNEE誌( https://doi.org/10.1016/j.knee.2021.02.019)に掲載されました。Edogawa Evolutionary Laboratory of Science(EELS)の研究者らは、3次元組織工学プラットフォームを用い、外部からヒアルロン酸や成長因子を加えることなしに、理想的な軟骨細胞を培養することに成功しました。この技術により、自家軟骨細胞移植(ACI)やマトリックス補助軟骨細胞移植(MACI)の治療による臨床成績の向上が期待されています。
再生医療分野での関節軟骨修復治療では、整形外科医や関節鏡外科医によるACI、MACIが行われており、患者自身の関節から採取した軟骨細胞をラボで培養し疾患部分に移植することで、軟骨の復元、置換、活性化、再生を行っています。ラボ環境では多くの場合、軟骨細胞が線維性軟骨として成長することが報告されていますが、体重を支える関節には硝子性軟骨が理想的であるとされています。硝子性軟骨の生体外での培養(https://doi.org/10.1016/j.reth.2020.03.006)と生体内での有効性(https://doi.org/10.1016/j.jor.2017.01.003)を証明してきたEELSチームは、今回、人工的なリプログラミングや動物性タンパク質、フィーダー細胞を使用せずに、ヒト軟骨に存在する前駆細胞や間葉系幹細胞が培養できることを証明しました(https://doi.org/10.1016/j.jor.2021.01.005)。
軟骨組織のマトリックスの中にあるヒアルロン酸は、軟骨の機能維持に不可欠であるため、治療の際にクリニックで直接注入される、またはラボでの細胞培養の際に外部から加えられています。これに対し、加藤医師のチームは、軟骨細胞が分泌したヒアルロン酸を保持する高分子ポリマーを用いて組織としての成長を促し、より高いヒアルロン酸の含有率を達成することができました。これは移植に最適な軟骨細胞を作り出すための世界初の技術と考えられ、ACIやMACIの治療に付加価値をもたらす可能性を持っています。
軟骨に必須のもう1つの要素であるmiRNA-140と本技術の体外培養中の細胞や組織の老化については、EELS、株式会社JBM、有限会社ジーエヌコーポレーションなどの連携により、「EELS-TALC」(Enriched with Essentials and Lapped in Scaffold, Transplant-suitable Autologous Leveraged Chondrocytes、必須成分が豊富で、足場で保持された、移植に適した自家組織活用型の軟骨細胞)という名称で、さらなる研究が行われています。
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