ニューヨーク--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- MSCIの2021年度世界の機関投資家調査1の回答者によれば、世界的なパンデミックはESG問題の重要性を浮き彫りにし、機関投資家によるESGの統合を加速させています。この調査は、資産合計約18兆ドルの200社の資産所有機関を対象としたものです。
政府系ファンド、保険会社、運営基金・財団、年金基金を調査した結果、投資家の4分の3以上(77%)がCOVID-19に対応してESG投資を「大幅に」または「適度に」増やしています。この数字は最大手の機関(資産額2000億ドル超)では90%に達しています。
MSCIのベア・ペティット社長兼最高執行責任者(COO)は、次のように述べています。「壊滅的な山火事、洪水、干ばつなどの気候関連の事象と世界的なパンデミックが同時に発生したことで、ESGおよび気候変動に関するパラダイムシフトが加速しています。かつては「グリーンファンド」やサイドポケットの問題であったESGと気候変動は、今では確実に優先度の高い問題になりました。2020年は機関投資家の投資方法に大きな変化がもたらされました。多くの投資家は、このパンデミックの際に強力な環境・社会・ガバナンス(ESG)慣行を有する多くの企業が優れた業績を上げていることに気付きました。」
調査によれば、米国の投資家は、いくつかの注目すべき例外を除き、一般的にはこれまではESGにはあまり熱心ではありませんでしたが、2020年にはその考えを大きく変え、海外の投資家の見解に近づきました。米国の回答者のうち78%が、COVID-19への対応としてESG投資を大幅にまたは適度に増やすと述べています。この数字は、アジア太平洋と欧州・中東・アフリカ(EMEA)ではそれぞれ79%と68%でした。
今後のESG投資を検討する際、投資家はESGのうち「社会(S)」をより重視し、3分の1は、2021年には投資構成に占める「社会」の割合を増やすことを望んでいます。この数字は、英国と米国ではそれぞれ50%と48%に増え、回答者は促進要因として、COVID-19が社会の不平等の見直しと重なったことを挙げています。
多種多様な課題-気候変動が主なリスク
機関投資家は、現在の緊急課題を取り込んで投資プロセスを変革していますが、規模、場所、長期的投資目標により微妙な違いがあるものの、中長期的には数多くの課題に直面しています。
調査では世界での違いが明らかになりましたが、多くの投資家にとってESGの課題は最大の関心事です。資産額が2000億ドルを超える機関投資家のほぼ3分の1(31%)は、気候リスクが今後3~5年間の組織の投資方法に最も大きな影響を与えると述べています。これに続き、投資家の約5分の1(19%)が人工知能などの破壊的技術を挙げており、14%がESG評価の精緻化が最も大きな影響を及ぼすと考えています。一方、小規模投資家(資産額が250億ドル未満)は、次の3~5年に投資に影響を及ぼす主要な動向として、規制の強化と市場の変動を挙げています。
気候データは世界的リスク管理の中核
調査によれば、直面する世界的な課題の範囲により、投資家はリスクを従来の資産配分よりも重要であると認識しており、あらゆる規模の投資家が、優れた投資業績を達成する上でリスク源の分散が資産配分よりも重要であると考えています。
気候変動が主要な課題の1つとして挙げられており、大手投資家は最新の気候データの利用と監視にますます重点を置いています。しかし、小規模な機関投資家はまだ、投資戦略に気候データを組み込み始めたばかりです。資産額が2000億ドルを超える投資家の約50%は、リスクを管理する上で気候データを日常的に活用していると答えていますが、資産額が250億ドル未満の投資家ではわずか16%でした。資産額が2000億ドルを超える投資家は、250億ドル未満の投資家と比べると、気候データを日常的に活用して投資機会を特定している割合が4倍高くなっています。
「機関投資家は、今後5年間で多くの課題に直面します。これは、このような課題が相互に関連していることからさらに大きなものになります。このような相互関連により複雑さが増し、緊急を要します。現実には、気候変動は急速に変化する社会的状況に連動しており、それが投資家の需要に変化をもたらします。これらはすべて非常に動的な規制環境の中で起こります。このような傾向は技術革新によって増大し、多大なコストと時間の制約が加わります。簡単に言えば、投資は今ではかつてないほど複雑なエコシステムとなっています」と、ペティットは述べています。
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1 世界の機関投資家レポートのすべての定量的データは、米州、欧州・中東・アフリカ(EMEA)、アジア太平洋の資産所有者200社の役員2万人の調査から得られたものです。調査は2020年9月に電話で実施されました。定性的な面談と引用は、別の一連の電話面談で取得しました。
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