CHICAGO--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- RMBキャピタル(以下「RMB」といいます。)は、株式会社テレビ朝日ホールディングス(コード番号9409、東証第一部、以下「テレビ朝日」といいます。)発行済株式総数の約1%を保有する長期株主です。RMBは、本年6月26日にテレビ朝日において開催予定の第80回定時株主総会(以下「本総会」といいます。)において、第3号議案として自己株式取得(1.25百万株・20億円上限)を上程しています。以下、同提案を行うに至った背景についてご説明します。
(1)テレビ朝日に対するRMBの評価
RMBは、在京キー局として優良なコンテンツ創出力を持ち、従来のテレビ放送事業にとどまらずAbemaTVなどのインターネット放送に早くから取り組み、また、六本木という立地を生かしてリアルイベントを開催する等、コンテンツ・エンタメというコア事業に注力しているテレビ朝日を高く評価しています。また、同社は、コーポレートガバナンス、株主還元についても、在京キー局の中で最も積極的に取り組んでいます。RMBは、親会社に朝日新聞、持分法適用会社に東映グループを持ち、報道、スポーツ、エンタメといった多岐にわたるコンテンツを提供するテレビ朝日は、中長期的には米国ディズニー社のような総合メディア企業になる素地があると考えます。
(2)テレビ朝日の直面する課題
一方で、テレビ朝日の株価は過去数年にわたって純資産価値を大きく下回って推移しており、同社の本来の価値が十分反映されていないとRMBは考えます。その背景には、(1)同社のROEが5%前後から伸び悩んでいること、(2)テレビ広告の規模がインターネット広告に逆転されるなど広告市場の大きな構造変化が起こっていること、また、(3)直近ではコロナウィルスの拡大で収益環境の不透明さが増していること、があるとRMBは分析しています。これらの課題に対し、テレビ朝日は事業・財務両面において大胆な施策を実施し、企業価値を高めることが求められているとRMBは考えます。
(3)RMBの提案
テレビ朝日は、本年度より新経営計画をスタートさせ、コンテンツを中心とした360°戦略を深化させる方針です。RMBは、そのような経営陣の戦略に賛同しつつ、以下のような提案を行います。
(ア)無料の地上波放送を中心とした事業モデルを変革すべきです。テレビ朝日を含む従来のテレビ局は、地上波放送のために割り当てられている電波帯域の返上も含め、根本的な事業モデルの変更を早急に模索すべきです。上述の通り地上波の広告市場はいよいよ減少に転じている一方、4K放送への対応等、設備投資はますます拡大する可能性があります。しかし、資本効率の観点からは、収益性の低下が予想される地上波への投資は抑制し、インターネットなど新しいチャネルやコンテンツ創出により重点的に資本投下を行うべきであることは論を待ちません。
(イ)地方系列ネットワーク局についても位置づけを再考すべきです。在阪の朝日放送も含め、重複する地上波放送設備への投資を抑えつつ、ネットワーク局によるコンテンツ創出力をより一層高めるための投資を行うべきです。
(ウ)東映グループとの事業シナジーを更に追求すべきです。映画・アニメ・テーマパークなどを事業とする同社は極めて重要な戦略的コンテンツ創出源であり、テレビ朝日とのシナジー効果は計り知れません。デジタル・インターネットとの親和性が高い東映のコンテンツは、テレビ朝日の中核的事業になる可能性があるとRMBは考えます。
(エ)財務面においては、潤沢なキャッシュフローと保有する現預金・投資有価証券を有効活用し、資本効率を改善させる方策を実行すべきです。特に、東映の保有する約15%のテレビ朝日株式については、自社株買いにより取得すべきです。テレビ朝日は2019年12月に東映を持分法適用会社にしていますが、東映もテレビ朝日の株式を保有し続けています。東映の保有するテレビ朝日株式を自社取得することは、テレビ朝日の保有する余剰キャッシュを有効活用し、同社の資本効率を改善する最善の方法だとRMBは考えます。
これらの中長期的な施策の提案に先立ち、RMBはテレビ朝日が市場から自己株式を取得すべきと考え、同社取締役会に提案するとともに、本総会に議案として上程しました。テレビ朝日が新経営計画をスタートさせるこのタイミングで自己株式取得を行うことで、企業価値を向上するという経営陣の強いメッセージを株式市場に送る事ができるとRMBは考えます。目下、コロナ禍の影響で事業環境が不透明であることは確かですが、長期的な観点からは、テレビ朝日の株価は歴史的に割安な水準であり、自己株式取得の好機であるとRMBは分析しています。