東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 東芝は、4G LTE-Advanced対応スマートフォン向けに、世界最小レベル[注1]で挿入損失[注2]と出力信号に現れる不要な周波数成分を低減したSP12T[注3]高周波アンテナスイッチを製品化し、本日からサンプル出荷します。
モバイル通信の普及に伴う無線帯域の多バンド化やデータ通信速度の高速化に伴い、モバイル端末の高周波回路部に使用されるアンテナスイッチでは、多ポート化対応や挿入損失、歪[注4]等の高周波特性の改善が求められています。また、新興国におけるスマートフォン需要の増加に対応するため、これらの機能性能の改善をコスト効率の優れた方法で実現することが求められています。当社はこのような要求に応えるため、当社独自の高周波スイッチ用SOI(Silicon on insulator)プロセス[注5]である「TarfSOITM(Toshiba advanced RF SOI)」[注6]の高性能化を進め、新世代SOIプロセス「TaRF6」を開発しました。「TarfSOITM」は、アナログ/デジタル/高周波回路を1チップに集積することが可能であり、これまで高周波スイッチに用いられていたGaAs等の他のソリューションに比べて、求められる機能や性能をコスト効率に優れた方法で実現できるソリューションです。
「TaRF6」では高周波MOS-FETを新規に開発し、今回開発したSP12Tスイッチに適用しました。これにより挿入損失(f=2.7GHz)が0.42dB、2次高調波歪[注7] (f=900MHz、Pin=25dBm)が-90dBmの性能を実現しました。この値は従来の「TaRF5」を使った製品に比べ挿入損失 (f=2.7GHz)で約0.26dB低減、2次高調波歪を約18dB低減しており、挿入損失低減によるスマートフォンの低消費電力化及び、今後拡大していくCarrier Aggregation[注8]の対応に低歪み特性で貢献します。
今後当社は「TaRF6」プロセスを使用した製品ラインアップを年内にそろえ、世界各地で導入の進むLTEや、LTE-Advanced[注9]で多ポート化、複雑化していく高周波スイッチ用に低挿入損失、低歪のスイッチを提供して行くと共に、同技術を生かしたファウンダリーサービスなども検討していく予定です。
注1 | 2014年9月10日現在、高周波アンテナスイッチ市場において。当社調べ。 | |
注2 | 高周波回路において1つの端子からもう1つの端子に伝播する電力の損失をデシベルで表したもの。 | |
注3 | Single Pole Twelve Throw Switch | |
注4 | 高周波回路において1つに端子からもう1つの端子に伝搬する際に、出力信号に現われる不要な周波数成分。 | |
注5 | CMOS LSIの高速性・低消費電力化を向上させるため、MOSFETのチャネルの下に絶縁膜を形成し、浮遊容量を低減させる技術。 | |
注6 | TarfSOITMは株式会社東芝の商標です。 | |
注7 | 高周波回路において歪成分のうち2倍の周波数を持つもの。 | |
注8 | 複数の周波数を同時に利用することで通信速度を上げる技術。送信時に本技術を適用すると片方の周波数で発生した歪がもう一方の周波数にとって妨害波となる事があるため、スイッチに低歪が求められる。 | |
注9 | LTEに次ぐ新たなスマートフォンの通信規格。仕様は標準化団体である3GPPにて標準化を行っている。ITUの定める第4世代移動通信システムの一つ。 | |
当社高周波アンテナスイッチの詳細については下記ページをご覧ください。
http://www.semicon.toshiba.co.jp/product/rf/rf_sw/index.html
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