ロンドン--(BUSINESS WIRE)--（ビジネスワイヤ） -- 英国の技術革新推進機関である技術戦略委員会の一部助成を受け、電力技術企業インテリジェント・エナジーが主導しているプロジェクト「高度燃料電池システム」（Enhanced Fuel Cell Systems）は、燃料電池システムの電力密度を30%以上改善できること、そして-20℃の低温でも起動する高信頼性のコールドスタート性能を実証しました。
この提携プロジェクトは、2009年12月から2012年12月まで、このクラスで一流のインテリジェント・エナジー製燃料電池エンジンの信頼性・耐久性・性能の向上に加え、システム重量の削減を狙ったものです。この開発プロジェクトには280万ポンドが投じられ、インテリジェント・エナジー、ダイソン・テクノロジー、リカルド、TRWコネクトが参加しました。また、このプロジェクトチームは運用に関する助言をDHLから受けています。
このプロジェクトチームによって電力密度は30%以上増加し、対象となったテストシステムはシステム重量やサイズを増加させることなく、出力が30kWから40kWに改善しました。また、このプロジェクト専用に開発された新しいクーラントモジュールの追加により、-20℃の低温におけるコールドスタート性能を安定的に達成しています。
このプロジェクトにおいて、インテリジェント・エナジーは高度燃料電池システムの全体的な設計と統合の改善を行い、リカルドは顧客として、総合的な車載仕様を提供し、またプロジェクト終了に際してサインオフを行いました。TRWコネクトは振動テストおよび環境テストを通じて燃料電池モジュールの完全性を検証し、潜在的問題点の特定および防止に貢献しました。ダイソン・テクノロジーは自社のデジタルモーター技術を基に小型・高効率のコンプレッサー（燃料電池システムへ空気を供給するための重要サブシステム）を開発しました。このコンプレッサーは、既に量産用に設計された既存のスタックエンクロージャー内に収められる構造になっています。
各社の発言:
インテリジェント・エナジー動力部門マネジングディレクターのジェームズ・バチェラー：「燃料電池システムは自動車からの二酸化炭素排出量を削減するための最も有望なソリューションの1つです。この業界大手間の協力プログラムにより、燃料電池システムの電力密度と性能を従来以上に大幅に高めながら、当社の車載向け技術の大規模な導入が加速されるはずです。その結果、当社の燃料電池システムは、顧客としてのOEMにとって、30kW以下から最大200kWという最も需要の多い出力範囲において、一層魅力的なものとなります。まだ当社の電池スタック電力密度には改善の余地があるため、システムレベル性能は近い将来に一層向上すると考えています。」
ダイソンのグループ研究・設計・開発運営ディレクターを務めるマーク・テイラー：「ダイソンはこの15年間、自社技術に使用するためのデジタルモーターを開発してきました。最新のモーターはダイソンのマシンを大幅に超える可能性を持っており、水素燃料電池車へのモーターの応用に当社技術者が熱意を抱き、この技術に対する当社の理解も深まりました。」
リカルド最高執行責任者（COO）のマーク・ギャレット：「車載システム統合に関する専門性でプロジェクトに貢献できたことを喜ばしく思っています。燃料電池は二酸化炭素排出量が極めて少ない将来的パワートレインソリューションとして有望であり、現状の多くの輸送用途を対象とした他の高度技術に対し、近いうちに競争力を持つはずです。このプロジェクトには世界に冠たる燃料電池技術者のスキルが結集され、また車載統合およびシステム開発でクラス最高の専門性が投入され、車両運送業者から運用の助言も受けたことで、燃料電池技術は商業応用に向けて大きく前進しました。」
TRWコネクトの高度テスト開発担当主席技術者を務めるクリス・マクドナルド・ブラッドレー：「このプロジェクトにより、コネクトのテスト能力、そして燃料効率の高い自動車技術を開発する組織に対するサポート能力が向上しました。この燃料電池サブシステムのテスト経験から、コネクトは信頼性と完全性を保証するテスト体制の設計・実現するための資格を十分に備えた企業となることができました。」
技術戦略委員会のイアン・グレイ最高責任者：「低炭素経済を英国に創出する上で、燃料電池技術は重要な役割を担っています。当委員会はこの分野の革新を長年にわたって支援してきており、その努力が実を結んだことを喜ばしく思っています。」
編集者注記：
インテリジェント・エナジーについて
インテリジェント・エナジーは、携帯端末用小型電池パックから無公害車のパワートレイン、常時接続インフラストラクチャーのための定置式電源ユニットまで、世界の家庭用電子機器、自動車、定置式電源の市場に効率的でクリーンなエネルギー技術を提供しています。
当社独自の技術アーキテクチャーは世界の一流企業に採用され、大衆消費市場向けの差別化された費用対効果の高い燃料電池電力供給システムの実現に寄与しています。この技術によって、インテリジェント・エナジーと当社の業界パートナーは、人々の日常生活を支える利便性の高いエネルギーソリューションを生み出すことで継続的な電力供給と生産性という課題を解決することが可能になります。
インテリジェント・エナジーは世界規模で事業を展開しており、南北アメリカ、欧州、アジアに拠点を置いています。
ダイソン・テクノロジーについて
ダイソンは技術企業として、すべての知的財産を英ウィルトシャーのマルムズベリーで開発しており、それらを世界60カ国以上に販売しています。ダイソンは500件以上の発明に関して3000件以上の特許を保有し、特許出願数は英国第2位を誇ります。ダイソン社員の3分の1は技術者であり、技術社員はファン、ドライヤー、真空掃除機の現行ラインアップの拡大、まったく新しい技術の開発に傾注しています。
過去15年にわたり、ダイソンは超高度モーター技術であるダイソン・デジタルモーターの開発と製造に1億5000万ポンドを投資してきました。このモーター技術からダイソンの他の技術が生み出されています。従来のモーターの3分の1のサイズでありながら毎分10万回転（F1レースの自動車エンジンよりも5倍高速）というモーターは、毎秒6000回の微調整を行うことで最適性能を発揮します。
リカルドについて
リカルドは、エンジニアリング・技術・プロジェクト革新・戦略に関して世界の多様な業界に助言を提供する世界的コンサルタント企業です。約1世紀にわたって価値を提供してきた当社は、2300人を超える専門技術者・コンサルタント・スタッフを擁しています。当社社員は、高効率・低排出、クラス最高の製品革新、そして確実な戦略実行に力点を置きながら、質の高い技術ソリューションを通じて、傑出した価値の提供に真剣に取り組んでいます。
当社の顧客には、輸送分野における世界一流の相手先商標製品製造企業、サプライチェーン組織、エネルギー企業、金融機関、政府機関が含まれます。当社は敬意・誠実・創造性・革新・熱意を企業価値として掲げ、顧客の持続可能な成長と商業的成功を支援しています。
TRWコネクトについて
TRWコネクトはコンサルティングおよび技術テストサービスを提供する企業として、新しいアイデアを生み出し、また科学と技術を製品の開発・製造・検証に応用しています。
コネクトは専門技術者のスキルとUKAS認定の社内テスト設備を統合し、概念設計および開発から試作および検証テスト、また少量生産およびシステム統合に至るまで、完全な技術サービスを提供する点で、独自の地位を築いています。
コネクトの経験豊富な技術チームは顧客と密接に協力し、製品開発パイプラインの一部ないし全体について、両パートナーのスキルと知識を考慮しつつ、プロジェクトの要件設定を行っています。
技術戦略委員会について
技術戦略委員会は英国の技術革新推進機関です。技術戦略委員会の目標は、企業主導の革新を奨励・支援することによって経済成長を加速することです。ビジネス・イノベーション・職業技能省（BIS）が資金提供する技術戦略委員会は、産学官を統合することで、市場ニーズや主要な社会的難題に対処し、将来経済を構築するための革新的製品やサービスの開発を支援・加速しています。
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