東京大学岩田修一教授が論文を発表:「FUKUSHIMA」の考察と未来を見据えた論議

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Study of "Fukushima" and Discussion Exploring Future Presentations (English)

東京--()--(ビジネスワイヤ) -- 東京大学教授である岩田修一氏による「FUKUSHIMA」に関する論文が発表された。東北地方太平洋沖地震と津波、原子力発電所問題等内包する、「FUKUSHIMA」によってもたらされた新しいパラダイムシフトに備えるための内容である。

今回発生した福島第一原子力発電所の事故「FUKUSHIMA」を真摯に受けとめて、経験を超えたタフな工学の構築と個のケアを基軸にした安全学構築への予備的考察を行った。

「地震」・「津波」・「核」による災害・事故の克服への努力が続いているが、時々刻々と噴出する眼前の課題の着実な解決とともに、世代を超える新しい発想の力強い行動計画の作成と実行が必要となっている。地震や津波は今回が最後ではない。東北関東地域では、3月11日以降も余震が続いている。4月7日にはマグニチュード7.4の強い地震があった。次の大きな地震や津波が何時なのか、何処なのか、どの程度なのかは誰も予測できない。「FUKUSHIMA」に関するデータ、知識の徹底的な再編を通して、極めて困難な状況下で問題解決を要請される大きなリスクへの周到な準備を行うことが必要である。

「FUKUSHIMA」では地震直後に原子炉の核分裂連鎖反応を「止める」ことには成功したが、核燃料を「冷やし」、放射性物質を「閉じ込める」ことには成功していない。地震と津波により経験的に積み上げてきた技術基盤が根底から崩れ、現場では損壊した原子炉の状態についての断片的なデータを手掛かりにして全体像を把握しながら多種多様な状態変化に対応した応急措置が継続的に実施されている。地震発生以降の経緯の事実確認を基に、学術そのものの見直しの作業を実施し、多様なリスクに関する根源的な検討を開始しなければならない時期である。

放射線に起因するリスクについてはメディアやインターネットを介した情報の発信・共有を通して社会に少しずつ科学的かつ倫理的な行動規範が形成され、風評被害を乗り越える福島産野菜の応援セールも実施されるようになった。そうした社会の変化を念頭に置きながら、本論文では、国際社会が長期的な視点で人類全体にとって、そして個人にとっての本当のリスクを直視し、この「FUKUSHIMA」の厳しい経験を人類全体の公共財として活用し、超克するための要件をまとめた。想定すべきリスクは原子炉だけではない。

<プロフィール>

東京大学大学院教授 岩田修一
1970年 東大工学部原子力工学科を卒業、1975年同 博士課程を修了し、工学博士。1978年東京大学工学部綜合試験所(冶金)講師、1980年同助教授、1981年工学部原子力工学科(核燃料工学)助教授、この間1995-1996Fachinformationscentrum1-Karlsruhe(天文学 ・物理学)客員研究員、1991年工学部原子力工学科(材料設計学)教授、1992年~2003年人工物工学研究センター(設計科学、ライフサイクル工学)教授、2003年システム量子工学専攻(材料設計科学)教授、2004年より現職。

写真とマルチメディア・ギャラリーはこちらをご覧ください:http://www.businesswire.com/cgi-bin/mmg.cgi?eid=6691108&lang=ja

Contacts

<問い合わせ先>
東京大学大学院教授 岩田修一
tel: 03-5841-6985(本郷研究室)
04-7136-4604(柏キャンパス)
iwatacodata@mac.com

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