武田薬品が第60回米国血液学会年次総会で血液がんの広範な治療ニーズに関するデータを発表へ

– 自家幹細胞移植後の維持療法としてのニンラーロ(イキサゾミブ)のTOURMALINE-MM3試験やCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫に対するフロントライン治療でのアドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)のECHELON-2試験を含む第3相試験の結果がオーラルセッションでの注目発表に –

– 18件の広範なアブストラクト集により、多発性骨髄腫、リンパ腫、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群における武田薬品の血液オンコロジーポートフォリオを浮き彫りに –

米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪--()--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE: 4502)は本日、2018年12月1~4日にサンディエゴで開催される第60回米国血液学会(ASH)年次総会で、企業スポンサー研究のアブストラクト計18件を報告すると発表しました。武田薬品の発表は、当社血液疾患ポートフォリオの臨床研究からの新データを取り上げます。注目すべき点として、当社は第3相TOURMALINE-MM3およびECHELON-2の各臨床試験のデータを発表します。

武田薬品グローバル・オンコロジー・ビジネス・ユニットのクリストフ・ビアンキ社長(M.D.)は、次のように述べています。「武田薬品は、2件の第3相試験のデータと当社パイプラインに関する発表により、血液がん患者の治療法を改善するための新たな治療選択肢の豊富な証拠をさらに増やすことになります。TOURMALINE-MM3試験はこの治療条件でプロテアソーム阻害剤の評価を実施した第3相プラセボ対照試験として初にして唯一のものです。本試験の良好なデータは、自家幹細胞移植後の維持療法としてのニンラーロの使用が、対照群との比較で無増悪生存期間を延長し、現状では選択肢が限られている患者集団に対する維持療法としてのニンラーロの潜在的有用性を際立たせました。またECHELON-2試験の良好なデータは、未治療のCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫患者で、化学療法と併用したアドセトリスが無増悪生存期間と全生存期間につき対照群より優れていることを実証しており、標準治療法が数十年にわたって不変だったこの治療条件での潜在的治療薬としてのアドセトリスにおいて重要な節目となる成果です。」

今年のASH総会では、多発性骨髄腫と診断され、高用量化学療法(HDT)と自家幹細胞移植(ASCT)が奏功した成人患者での維持療法としてのニンラーロ(イキサゾミブ)の効果を評価する第3相TOURMALINE-MM3試験のデータを、太平洋時間12月2日(日曜)午前7時30分開催のオーラルセッションで初めて発表します。TOURMALINE-MM3試験は主要評価項目を達成し、ニンラーロは独立評価委員会(IRC)による評価に基づき、プラセボと比較して無増悪生存期間(PFS)の統計的に有意な改善をもたらしました。TOURMALINE-MM3で安全性に関する新たな兆候は観察されず、維持療法という条件でのニンラーロの安全性プロファイルは、単剤療法でのニンラーロの使用で報告済みの結果と一致するものでした。ニンラーロは現在、ASCT後の維持療法での単剤療法として承認されていません。

第3相ECHELON-2試験のデータは、太平洋時間12月3日午後6時15分開催のオーラルセッションで発表します。試験ではCHP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン)と併用したアドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)が、対照群のCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)と比較してPFSの統計的に有意な改善を示しました。ECHELON-2試験のトップラインデータは2018年10月に報告されています。本試験の結果は、アドセトリスとCHPの併用療法が、独立評価機関(IRF)の評価によれば対照群よりPFSにつき優れていることを証明しました(ハザード比=0.71、p値=0.0110)。全生存期間を含め、主要な副次評価項目のすべてでアドセトリス+CHP群が統計的に有意な優位性を示し、安全性プロファイルも管理可能なものでした。アドセトリスは現在、PTCLのフロントライン治療として承認されていません。

幅広さと深みのある武田薬品の研究開発については、多発性骨髄腫、リンパ腫、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)をテーマとする幾つかのプレゼンテーションを通じてさらに紹介します。

Takeda Oncologyがスポンサーとなり、ASH 2018での発表が受理された18件のアブストラクトは、次の通りです。

注記:記載された時間はすべて太平洋標準時間です。

アドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)

多発性骨髄腫/ニンラーロ(イキサゾミブ)

アイクルシグ(ポナチニブ)

パイプライン(リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)

詳細情報については、こちらでASHのプログラムをご覧ください:https://ash.confex.com/ash/2018/webprogram/

アドセトリスについて
アドセトリスは、シアトル・ジェネティクスの専有技術を使用し、抗CD30モノクローナル抗体を、タンパク質分解酵素により開裂するリンカーで、微小管阻害剤モノメチルアウリスタチンE(MMAE)と結合させたADCです。本ADCが採用するリンカーシステムは、血中では安定し、CD30陽性の腫瘍細胞に取り込まれると、MMAEを放出するように設計されています。

静脈内注射用のアドセトリス注射剤はFDAより、成人患者を対象に5件の適応症で承認を取得しました。これらの適応症は、(1)未治療のステージ3/4古典的ホジキンリンパ腫(cHL)(化学療法との併用)、(2)自家造血幹細胞移植(自家HSCT)地固め療法後に再発ないし進行のリスクが高いcHL、(3)自家HSCTが失敗した患者か、自家HSCTの候補でない患者で過去に少なくとも2回の多剤化学療法レジメンが失敗した患者でのcHL、(4)過去の1回以上の多剤化学療法レジメンが失敗した後のsALCL、(5)過去に全身療法を受けている患者での原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)またはCD30発現菌状息肉症(MF)、となります。

カナダ保健省はアドセトリスに対し、再発性ないし難治性のホジキンリンパ腫およびsALCLを適応症として条件付き承認を2013年に与え、また再発ないし進行のリスクを持つホジキンリンパ腫患者の自家幹細胞移植(ASCT)後の地固め療法として無条件承認を与えています。

アドセトリスは欧州委員会より、条件付きの市販承認を2012年10月に取得しました。これらの欧州で承認された適応症は、(1)ASCT後、またはASCTないし多剤化学療法が治療選択肢でない場合に少なくとも2種類の治療を受けた後の再発性ないし難治性のCD30陽性成人ホジキンリンパ腫患者の治療、(2)再発性または難治性の成人sALCL患者の治療、(3)ASCT後に再発・進行リスクの高いCD30陽性ホジキンリンパ腫の成人患者の治療、(4)過去に少なくとも1種類の全身療法を受けているCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)成人患者の治療、となります。

アドセトリスは再発性/難治性ホジキンリンパ腫とsALCLを適応に70カ国以上で規制当局より市販承認を取得しています。下記の重要な安全性情報をご覧ください。

アドセトリスは70件以上の臨床試験で広範な評価を受けています。これらの試験には、ホジキンリンパ腫に対するファーストライン治療としての第3相試験(ECHELON-1)、CD30陽性末梢性T細胞リンパ腫に対するファーストライン治療としての別の第3相試験(ECHELON-2)、その他多種類のCD30陽性悪性腫瘍を対象とした試験が含まれます。

シアトル・ジェネティクスと武田薬品はアドセトリスを共同開発しています。提携契約の条件に従い、シアトル・ジェネティクスは米国とカナダでアドセトリスを商業化する権利を保有し、武田薬品は世界のその他の地域で商業化する権利を保有します。シアトル・ジェネティクスと武田薬品は、アドセトリスの開発費を50対50の割合で共同負担していますが、例外的に日本における開発費に関しては武田薬品が単独で責任を負っています。

アドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)の重要な安全性情報(欧州連合向け)

処方に先立ち、製品概要(SmPC)をご参照ください。

禁忌

ブレンツキシマブ・ベドチンおよびその賦形剤に対し過敏症を示す患者に対するアドセトリスの使用は禁忌となっています。またブレオマイシンとアドセトリスの併用は肺毒性をもたらします。

特別な警告および注意

進行性多巣性白質脳症(PML):アドセトリスによる治療を受けた患者で、進行性多巣性白質脳症(PML)および死亡をもたらすジョン・カニンガム・ウイルス(JCV)の再活性化が起こることがあります。複数の化学療法レジメンを受けた後にアドセトリスを投与された患者でPMLが報告されています。PMLは潜伏JCVの再活性化がもたらす希少な中枢神経系の脱髄疾患で、多くの場合に致死性となります。

神経・認知・行動関連でPMLを示唆する兆候・症状の新規発症または悪化につき、患者を密にモニタリングします。PMLの評価法として提案されているものには、神経科医による診察、脳のガドリニウム増強核磁気共鳴画像法、ポリメラーゼ連鎖反応によるJCV DNAの脳脊髄液分析、JCVの所見がある場合の脳生検が含まれます。JCV PCR陰性はPMLの可能性を排除するものではありません。別の診断が確定しない場合、追加的な観察と評価が必要となる場合があります。PMLが疑われる症例すべてでアドセトリス投与を保留し、PMLの診断が確定したらアドセトリスを永久的に中止します。

患者が気づかない可能性があるPMLの症状(例:認知・神経・精神の症状)に注意します。

膵炎:アドセトリスによる治療を受けた患者で、急性膵炎が観察されています。致死的転帰が報告されています。急性膵炎を疑わせる腹痛の新規発症または悪化につき、患者を密にモニタリングします。患者の評価には身体診察、血清アミラーゼと血清リパーゼのラボ検査、超音波など腹部画像検査、その他の適切な診断法があり得ます。急性膵炎が疑われる症例すべてでアドセトリス投与を保留し、急性膵炎の診断が確定したらアドセトリスを永久的に中止する必要があります。

肺毒性:アドセトリスによる治療を受けた患者で、肺臓炎、間質性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含め、致死的転帰を伴う場合がある肺毒性の症例が報告されています。アドセトリスとの因果関係は確立していませんが、肺毒性のリスクは排除できません。肺症状の新規発症や悪化があれば、直ちに適切な評価と治療を行います。評価中および症状が改善するまでは投与の保留を検討します。

重篤感染および日和見感染:アドセトリスによる治療を受けている患者で肺炎、ブドウ球菌血症、敗血症/敗血症性ショック(致死的転帰を含む)、帯状疱疹などの重篤感染と、ニューモシスチス・イロベチ肺炎や口腔カンジダなどの日和見感染が報告されています。重篤感染および日和見感染の発生可能性につき、治療中は患者を注意深くモニタリングします。

注入に伴う反応(IRR):即時型および遅延型のIRRと、アナフィラキシーがアドセトリス投与で発生しています。患者を注入時と注入後に注意深くモニタリングします。アナフィラキシーが発生した場合、アドセトリス投与を即時・永続的に中止し、適切な治療を施す必要があります。IRRが発生した場合、注入を中断して適切な医療管理を行います。注入は症状が解消してから速度を落として再開することも可能です。IRRを過去に経験している患者は、その後の注入に備えて準備投薬する必要があります。IRRはアドセトリスに対する抗体を持つ患者ほど頻度と重症度が高くなっています。

腫瘍崩壊症候群(TLS):アドセトリス投与でTLSが報告されています。腫瘍が急速に増殖して腫瘍量が多い患者はTLSのリスクがあります。これら患者は密にモニタリングし、最適な医療に基づいて管理します。

末梢神経障害(PN):アドセトリスによる治療は感覚神経障害、運動神経障害の両神経障害をもたらす場合があります。アドセトリス誘発性PNは一般的にほとんどの症例において蓄積的で可逆的です。知覚鈍麻、知覚過敏、知覚障害、不快感、灼熱感、神経因性疼痛、虚弱などPNの症状につき、患者をモニタリングします。PNの新規発症や悪化を経験した患者では、アドセトリス投与の延期、投与量削減、中止が必要となる場合があります。

血液毒性:グレード3ないし4の貧血、血小板減少症、長期(1週間以上)のグレード3ないし4の好中球減少症がアドセトリスで発生する場合があります。各投与に先立ち全血球計算値をモニタリングします。

発熱性好中球減少症:発熱性好中球減少症が報告されています。発熱性好中球減少症が発症した場合、患者を発熱につき密にモニタリングし、最適な医療に基づき管理します。

スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS):アドセトリス投与でSJSおよび中毒性表皮壊死症(TEN)が報告されています。致死的転帰が報告されています。SJSまたはTENが発症した場合、アドセトリスによる治療を中止し、適切な治療を施します。

消化管合併症:腸閉塞、イレウス、腸炎、好中球減少性大腸炎、びらん、潰瘍、穿孔、出血を含め、致死的転帰を伴う場合がある消化管合併症が報告されています。消化管症状の新規発症や悪化があれば、直ちに評価して適切な治療を施します。

肝毒性:アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇が報告されています。肝毒性の重篤な症例(致死的転帰を含む)も発生しています。アドセトリス投与を受ける患者では、治療開始に先立って肝機能を検査し、検査値の上昇につき定期的にモニタリングします。肝毒性を経験した患者では、アドセトリス投与の延期、投与量変更、中止が必要となる場合があります。

高血糖症:試験では糖尿病の病歴有無にかかわらず肥満指数(BMI)の高い患者で高血糖症が報告されています。高血糖イベントを経験した患者は全員、血清グルコースを密にモニタリングします。糖尿病治療を適宜開始します。

腎・肝障害:腎・肝障害を抱えた患者における経験は限られています。入手できるデータは、MMAEクリアランスが重度の腎障害および肝障害と、低い血清アルブミン濃度による影響を受ける可能性があることを示しています。

CD30陽性CTCL:菌状息肉腫(MF)および原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)以外のCD30陽性CTCLサブタイプでの治療効果の程度は、高レベルの証拠が不足しているため明らかではありません。アドセトリスの2件の単群第2相試験では、セザリー症候群(SS)、リンパ腫様丘疹症(LyP)、混合組織型CTCLの各サブタイプで疾患活動性が示されました。これらのデータは、有効性と安全性が他のCD30陽性CTCLサブタイプに外挿できることを示しています。CD30陽性CTCLの他の患者タイプでは、患者ごとにベネフィットとリスクを慎重に検討して注意を払います。

賦形剤におけるナトリウム量:アドセトリスは1回の投与量当たり最大2.1 mmol(47 mg)のナトリウムを含むので、ナトリウム制限食を取っている患者で考慮します。

薬物相互作用
強力なCYP3A4阻害剤やP-gp阻害剤をアドセトリスと併用している患者は、好中球減少症のリスクが高まる可能性があるため、密にモニタリングする必要があります。アドセトリスとCYP3A4誘導剤の同時投与はアドセトリスの血漿中濃度を変えませんでしたが、アッセイで検出され得るMMAE代謝産物の血漿中濃度の低減をもたらすと思われます。アドセトリスはCYP3A4酵素によって代謝される薬物への曝露に変化をもたらすとは考えられません。

妊娠:妊娠の可能性がある女性は、アドセトリスによる治療を受けている期間と治療後6カ月目までは2種類の効果的な避妊法を取るよう助言します。アドセトリスの妊婦での使用に関するデータは存在しませんが、動物試験で生殖毒性が示されています。母体に対するベネフィットが胎児に対する潜在的リスクを上回る場合を除き、アドセトリスを妊娠中に使用してはなりません。

授乳(母乳育児):アドセトリスまたはその代謝産物が母乳中に排泄されるかどうかを示すデータは存在しませんので、新生児/乳児に対するリスクは排除できません。潜在的リスクがあるため、母乳育児を中止するかアドセトリスによる治療を中止/自制するかを決断する必要があります。

生殖:非臨床試験でアドセトリスによる治療は精巣毒性をもたらしているため、男性の生殖能力を変化させる可能性があります。アドセトリスによる治療を受けている男性には、治療期間中と最後の投与から最長6カ月後までは子供をもうけないように助言します。

運転および機械操作の能力に対する影響:アドセトリスは、運転および機械操作の能力に対し小さな影響を及ぼす可能性があります。

副作用
最も発生頻度が高かった(10%以上)有害反応は、感染症、末梢感覚神経障害、悪心、疲労、下痢、発熱、上気道感染、好中球減少症、発疹、咳、嘔吐、関節痛、末梢運動神経障害、注入に伴う反応、そう痒、便秘、呼吸困難、体重減少、筋肉痛、腹部痛でした。

重篤な薬物有害反応には、肺炎、急性呼吸窮迫症候群、頭痛、好中球減少症、血小板減少症、便秘、下痢、嘔吐、悪心、発熱、末梢運動神経障害、末梢感覚神経障害、高血糖症、脱髄性多発性神経炎、腫瘍崩壊症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群が含まれます。重篤な薬物有害反応は患者の12%で発生しています。特異的な重篤薬物有害反応の発生頻度は1%以下でした。

アドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)の重要な安全性情報(米国向け)

枠囲み警告:進行性多巣性白質脳症(PML)

アドセトリスによる治療を受けている患者で、PMLおよび死亡をもたらすJCウイルス感染が発生する場合があります。

禁忌
アドセトリスとブレオマイシンの併用は、肺毒性(例えば間質浸潤もしくは炎症またはその両方)を理由に禁忌となっています。

警告および注意

末梢神経障害(PN):アドセトリスは、感覚優位の末梢神経障害を引き起こします。末梢運動神経障害の症例も報告されています。アドセトリス誘発性末梢神経障害は蓄積的です。知覚鈍麻、知覚過敏、知覚障害、不快感、灼熱感、神経因性疼痛、虚弱などの症状につき、モニタリングします。投与量を適宜修正します。

アナフィラキシーおよび注入反応:アナフィラキシーを含め、注入に伴う反応(IRR)がアドセトリスで発生しています。注入中は患者をモニタリングします。IRRが発生した場合は注入を中断し、適切な医療管理を行います。アナフィラキシーが発生した場合は注入を即時・永続的に中止し、適切な医療を施します。IRRを過去に経験している患者は、次の注入に先立って前投薬を行います。前投薬として可能なものには、アセトアミノフェン、抗ヒスタミン薬、副腎皮質ホルモンが含まれます。

血液毒性:長期(1週間以上)の重度好中球減少症およびグレード3ないし4の血小板減少症または貧血がアドセトリスで発生する場合があります。発熱性好中球減少症がアドセトリスで報告されています。アドセトリスの投与に先立ち、全血球計算値をモニタリングします。グレード3ないし4の好中球減少症が発症している患者ではモニタリング頻度の増加を検討します。発熱に関し患者をモニタリングします。グレード3ないし4の好中球減少症が発生した場合、投与延期、投与量削減、投与中止、G-CSF予防投与後の投与を検討します。

重篤感染と日和見感染:アドセトリスによる治療を受けた患者で、肺炎、菌血症、敗血症ないし敗血症性ショック(致死的転帰を含む)が報告されています。治療中は細菌・真菌・ウイルス感染につき、患者を密にモニタリングします。

腫瘍崩壊症候群:腫瘍が急速に増殖して腫瘍量が多い患者は、密にモニタリングします。

重度腎障害が存在する場合の毒性増加:グレード3以上の有害反応および死亡が発生する頻度は、正常な腎機能の患者と比較して重度の腎障害を持つ患者で高くなっていました。重度の腎障害を持つ患者では使用を避けます。

中等度から重度の肝障害が存在する場合の毒性増加:グレード3以上の有害反応および死亡が発生する頻度は、正常な肝機能の患者と比較して中等度から重度の肝障害を持つ患者で高くなっていました。中等度から重度の肝障害を持つ患者では使用を避けます。

肝毒性:致死的転帰を含む重篤例がアドセトリスによる治療を受けた患者で発生しています。それらの症例は肝細胞障害と一致するもので、トランスアミナーゼもしくはビリルビンまたはその両方の上昇を含み、アドセトリスの初回投与または再投与後に発生しています。既往症の肝臓疾患の存在、ベースラインにおける肝酵素の上昇、併用薬はリスクを高める可能性があります。肝酵素とビリルビンをモニタリングします。肝毒性が新規発症、悪化、再発した患者ではアドセトリス投与の延期、投与量変更、中止が必要となる場合があります。

PML:アドセトリスによる治療を受けた患者でPMLと死亡をもたらすJCウイルス感染が報告されています。最初の症状はアドセトリスによる治療開始後のさまざまな時期に発生し、初回曝露から3カ月以内に発生した場合もあります。アドセトリス以外では、免疫抑制をもたらす可能性がある前治療と基礎疾患が寄与因子となっている場合があります。中枢神経系の異常を示す兆候・症状が新規に現れた患者はPMLの診断を検討します。PMLが疑われる場合はアドセトリス投与を保留し、PMLが確定したらアドセトリス投与を中止します。

肺毒性:肺臓炎、間質性肺疾患、急性呼吸ひっ迫症候群など非感染性肺毒性イベントが、致死的転帰を一部含め、報告されています。咳および呼吸困難を含む兆候・症状につき患者をモニタリングします。肺症状が新規に現れたり悪化したりした場合、評価中および症状改善までの期間はアドセトリス投与を保留します。

重篤皮膚反応:スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症(TEN)が、致死的転帰を含め、アドセトリス投与で報告されています。SJSまたはTENが発症した場合はアドセトリス投与を中止し、適切な医療を施します。

消化管合併症:致死的転帰を含む急性膵炎が、アドセトリスによる治療を受けた患者で報告されています。穿孔、出血、びらん、潰瘍、腸閉塞、腸炎、好中球減少性大腸炎、イレウスを含め、その他の致死的/重篤な消化管合併症がアドセトリス治療を受けた患者で報告されています。既存の消化管病変を持つリンパ腫では、穿孔のリスクが高まる可能性があります。消化管症状の新規発症や悪化は、直ちに診断・評価して適切な治療を施す必要があります。

胚・胎児毒性:作用機序と動物実験に基づけば、アドセトリスは胎児に害を及ぼす可能性があります。生殖能のある女性には、胎児への潜在的リスクにつき、またアドセトリス治療中とアドセトリスの最終投与から少なくとも6カ月は妊娠を避けるよう、助言します。

最も発生頻度の高い(20%以上)有害反応:末梢感覚神経障害、疲労、悪心、下痢、好中球減少症、上気道感染、発熱。

薬物相互作用
強力なCYP3A4阻害剤またはCYP3A4誘導剤、P-gp阻害剤との併用は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)への曝露に影響を与える可能性があります。

特定集団での使用
中等度から重度の肝障害の患者または重度腎障害:MMAEへの曝露と有害反応が増加します。使用を避けます。

生殖能のある女性を性的パートナーに持つ男性には、アドセトリスの治療中とアドセトリスの最終投与から少なくとも6カ月は効果的な避妊を助言します。

アドセトリスの投与を受けている間は、妊娠すれば直ちに報告し、授乳を控えるよう、患者に助言します。

枠囲み警告を含め、重要な安全性情報の詳細については、アドセトリスの完全な処方情報をwww.seattlegenetics.comまたはwww.ADCETRIS.comでご覧ください。

アイクルシグ(ICLUSIG®)(ポナチニブ)錠について

アイクルシグはキナーゼ阻害剤で、その主要な標的はBCR-ABLです。BCR-ABLは慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)で発現する異常なチロシンキナーゼです。アイクルシグはコンピューターと構造に基づく医薬品設計プラットフォームを使用して開発されたがん分子標的治療薬であり、特別にBCR-ABL1とその変異型の活性を阻害するように設計されています。アイクルシグは、ネイティブのBCR-ABL1に加え、最も抵抗性が強いT315I変異型を含め、治療抵抗性のBCR-ABL1変異型を標的とします。アイクルシグは承認済みのTKIとして唯一、BCR-ABL1のゲートキーパー変異T315Iに対し作用します。同変異は承認済みの他のあらゆるTKIに対する抵抗性と関連しています。2016年11月にFDAより完全承認を取得したアイクルシグは、EU、オーストラリア、スイス、イスラエル、カナダ、日本でも承認を取得しています。

米国でアイクルシグは下記を適応症としています:

  • 慢性期/移行期/急性転化期のCML(CP-CML、AP-CML、BP-CML)またはPh+ ALLを患い、他のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法が適応とならない成人患者の治療。
  • T315I陽性CML(CP、AP、BP)またはT315I陽性Ph+ ALLの成人患者の治療。

使用の制限:アイクルシグは、初発CP-CML患者の治療を適応としておらず、同患者の治療薬として推奨されません。

重要な安全性情報(米国向け)

警告:動脈閉塞、静脈血栓塞栓症、心不全、肝毒性

完全な枠組み警告については処方情報の全文をご覧ください。

  • アイクルシグ(ポナチニブ)による治療を受けている患者の35%以上で、致死的な心筋梗塞、脳卒中、脳大動脈の狭窄、重度の末梢血管疾患、緊急の血行再建術を必要とする事態を含め、動脈閉塞が発現しています。 50歳未満の患者を含め、心血管リスクを持つ患者も持たない患者もこれらのイベントを経験しました。血管閉塞が発現した場合はアイクルシグを即座に中断ないし中止します。リスクとベネフィットの検討に基づき、アイクルシグ治療を再開するかどうか決定します。
  • 静脈血栓塞栓症がアイクルシグ治療を受けた患者の6%で発現しています。血栓塞栓症の証拠につきモニタリングします。重篤な静脈血栓塞栓症が発現した患者ではアイクルシグの用量調節または中止を検討します。
  • 死亡例を含む心不全がアイクルシグ治療を受けた患者の9%で発現しています。心機能をモニタリングします。心不全が新規発症ないし悪化した場合はアイクルシグを中断ないし中止します。
  • 肝毒性、肝不全、死亡がアイクルシグ治療を受けている患者で発現しています。肝機能をモニタリングします。肝毒性が疑われる場合はアイクルシグを中断します。

警告および注意
動脈閉塞:致死的な心筋梗塞、脳卒中、脳の主幹動脈狭窄、重度の末梢血管疾患を含む動脈閉塞が、第1相試験および第2相試験でアイクルシグ治療を受けた患者の35%以上で発現しています。第2相試験では、アイクルシグ治療を受けた患者の33%(150/449例)が心血管(21%)、末梢血管(12%)、脳血管(9%)の動脈閉塞イベントを経験し、一部の患者は複数種類のイベントを経験しました。致死的イベントと生命を脅かすイベントは治療開始から2週間以内に1日15 mgの低用量で発現しています。アイクルシグは再発性または多部位の血管閉塞をもたらす場合もあります。患者はこれまで血行再建術が必要でした。心血管、脳血管、末梢血管の動脈閉塞イベントが発現するまでの期間の中央値はそれぞれ193日、526日、478日でした。心血管リスク因子を持つ患者も持たない患者も、約50歳以下でも、これらのイベントを経験しています。これらのイベントで最も多く観察されたリスク因子は、高血圧、高脂血症、心疾患の病歴でした。動脈閉塞イベントは年齢が高いほど、虚血、高血圧、糖尿病、高脂血症の病歴を持つ患者ほど、多く発現しました。動脈閉塞イベントの発現が疑われる患者ではアイクルシグの投与を中断または中止します。

静脈血栓塞栓症:静脈血栓塞栓症イベントがアイクルシグ治療を受けた患者の6%(25/449例)で発現し、発現率は5%(13/270例、CP-CML)、4%(3/85例、AP-CML)、10%(6/62例、BP-CML)、9%(3/32例、Ph+ ALL)でした。イベントには深部静脈血栓症、肺塞栓症、表在性血栓性静脈炎、視力喪失を伴う網膜静脈血栓症が含まれます。重篤な静脈血栓塞栓症が発現した患者では、アイクルシグの用量調節または投与中止を検討します。

心不全:致死的ないし重篤な心不全または左心室機能不全が、アイクルシグ治療を受けた患者の6%(29/449例)で発現しています。患者の9%(39/449例)が心不全または左心室機能不全(全グレード)を経験しています。最も多く報告された心不全イベントは、うっ血性心不全および駆出率低下でした(それぞれ患者の3%となる14人)。心不全と一致する兆候や症状につき患者をモニタリングし、臨床上の必要に応じて、アイクルシグの投与中断を含む処置を施します。重篤な心不全が発現した場合は投与中止を検討します。

肝毒性:アイクルシグは、肝不全および死亡を含む肝毒性をもたらす場合があります。死亡につながる劇症肝不全が1人の患者で、アイクルシグの投与開始から1週間以内に発現しています。その他にも急性肝不全による死亡例が2例発生しています。死亡例はBP-CMLまたはPh+ ALLの患者で発生しています。重度の肝毒性はあらゆる患者コホートで発現し、11%(50/449例)がグレード3~4の肝毒性を経験しています。肝毒性で最も多かった種類はASTまたはALTの上昇(全グレードが54%、グレード3~4が8%、フォローアップの最終日までに回復しなかった症例が5%)、ビリルビン上昇、アルカリフォスファターゼ上昇でした。肝毒性イベントは患者の29%で観察されています。肝毒性イベントが発現するまでの期間の中央値は3カ月でした。肝機能検査値をベースライン時に、その後は少なくとも月1回、または臨床上の必要に応じて、モニタリングします。臨床上の必要に応じて、アイクルシグの投与を中断、減量、中止します。

高血圧症:治療下における収縮期/拡張期血圧の上昇が、アイクルシグ治療を受けた患者の68%(306/449例)で発現しています。53人(12%)の患者が治療下で高血圧性クリーゼを含む症候性高血圧症を重篤有害反応として経験しています。患者は錯乱、頭痛、胸痛、息切れを伴う高血圧症の場合、緊急の臨床的介入を必要とする場合があります。ベースラインにおける収縮期血圧が140 mm Hg未満でベースラインにおける拡張期血圧が90 mm Hg未満の患者では、80%(229/285例)が治療下で高血圧症を経験し、44%(124/285例)がステージ1の高血圧症を発現、37%がステージ2の高血圧症を発現しました。ベースラインでステージ1の高血圧症を有していた患者132人では、67%(88/132例)がステージ2の高血圧症を発現しました。アイクルシグの投与期間中は血圧上昇につきモニタリングと管理を行い、高血圧症を治療して血圧を正常化します。薬物療法によって高血圧症を管理できない場合はアイクルシグの投与を中断、減量、中止します。高血圧の著しい悪化、動揺性または治療抵抗性の高血圧症が認められる場合、治療を中断し、腎動脈狭窄症の評価を検討します。

膵炎:膵炎が、アイクルシグ治療を受けた患者の7%(31/449例、6%が重篤またはグレード3/4)で発現しています。治療下で発現したリパーゼ上昇の発現率は42%でした(16%がグレード3以上)。膵炎が原因で患者の6%(26/449例)にて治療の中止または中断に至りました。膵炎発現までの期間の中央値は14日でした。膵炎を発現した31例中23例が投与の中断または減量から2週間以内に回復しています。血清リパーゼ値を、最初の2カ月間は2週間ごと、その後は月1回、または臨床上の必要に応じてチェックします。膵炎またはアルコール乱用の病歴を持つ患者では、これ以外にも血清リパーゼのモニタリングを検討します。投与の中断または減量が必要になることがあります。リパーゼ上昇が腹部症状を伴う場合、アイクルシグの投与を中断して、膵炎につき患者の評価を行います。患者の症状が完全に回復し、リパーゼ値が1.5 x ULN未満になるまでは、アイクルシグの投与再開を検討してはなりません。

初発慢性期CMLにおける毒性増大:初発慢性期(CP)CML患者に対するファーストライン治療としての前向きランダム化臨床試験で、アイクルシグ45 mgの1日1回単独投与はイマチニブ400 mgの1日1回単独投与と比較して重篤有害反応のリスクが2倍に増大しました。治療期間における曝露期間の中央値は6カ月未満でした。試験は安全を理由に2013年10月に中止されました。動脈および静脈の血栓症および閉塞は、イマチニブ群と比較してアイクルシグ群で少なくとも2倍の頻度で発現しました。イマチニブ治療を受けた患者と比較して、アイクルシグ治療を受けた患者は、骨髄抑制、膵炎、肝毒性、心不全、高血圧症、皮膚/皮下組織障害の高い発現率を示しました。アイクルシグは、初発CP-CML患者の治療を適応としておらず、推奨もされません。

神経障害:末梢神経障害と脳神経障害がアイクルシグ治療を受けた患者で発現しています。全体として、アイクルシグ治療を受けた患者の20%(90/449例)が末梢神経障害(全グレード)を発現しました(グレード3/4は2%)。最も多く報告された末梢神経障害は、錯感覚(5%、23/449例)、末梢神経障害(4%、19/449例)、感覚鈍麻(3%、15/449例)、味覚障害(2%、10/449例)、筋脱力(2%、10/449例)、知覚過敏(1%、5/449例)でした。脳神経障害がアイクルシグ治療を受けた患者の2%(10/449例)で発現しました(グレード3/4は1%未満、3/449例)。神経障害を発現した患者のうち、26%(23/90例)は治療開始から1カ月以内に神経症を発現しました。感覚鈍麻、知覚過敏、錯感覚、不快感、灼熱感、神経障害性疼痛、脱力などの神経障害の症状につき、患者をモニタリングします。神経障害が疑われる場合はアイクルシグの投与中断を検討し、評価します。

眼毒性:失明または霧視に至った重篤な眼毒性が、アイクルシグ治療を受けた患者で発現しています。黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、網膜出血を含む網膜毒性が、アイクルシグ治療を受けた患者の2%で発現しています。結膜刺激、角膜びらんまたは角膜剥離、眼乾燥、結膜炎、結膜出血、充血および浮腫、眼痛が患者の14%で発現しています。霧視が患者の6%で発現しています。その他の眼毒性には、白内障、眼窩周囲浮腫、眼瞼炎、緑内障、眼瞼浮腫、眼球充血、虹彩炎、虹彩毛様体炎、潰瘍性角膜炎が含まれます。ベースラインにて、また治療中は定期的に総合的な眼検査を実施します。

出血:死亡例を含む重篤出血イベントが、アイクルシグ治療を受けた患者の6%(28/449例)に発現しました。出血は患者の28%(124/449例)で発現しています。重篤出血イベントは、AP-CML、BP-CML、Ph+ ALL患者の方が高い発現率を示しました。消化管出血と硬膜下血腫が最も多く報告された重篤出血イベントで、それぞれ患者の1%(4/449例)で発現しています。全部ではないものの大半の出血イベントは、グレード4の血小板減少症を持つ患者で発現しています。重篤または重度の出血が生じた場合、アイクルシグの投与を中断して評価を実施します。

体液貯留:重篤と判断された体液貯留イベントが、アイクルシグ治療を受けた患者の4%(18/449例)で発現しています。1例の脳浮腫は致死的でした。2%より多くの患者において治療下で発現した重篤な体液貯留イベントには、胸水(7/449例、2%)、心嚢液貯留(4/449例、1%)、末梢性浮腫(2/449例、1%未満)が含まれます。

全体として、体液貯留が患者の31%で発現しています。最も多かった体液貯留イベントは、末梢性浮腫(17%)、胸水(8%)、心嚢液貯留(4%)、末梢腫脹(3%)でした。

体液貯留につき患者をモニタリングし、臨床上の必要に応じて患者を管理します。臨床上の必要に応じて、アイクルシグの投与を中断、減量、中止します。

不整脈:不整脈がアイクルシグ治療を受けた患者の19%(86/449例)で発現し、うち7%(33/449例)がグレード3以上でした。心室性の不整脈が全不整脈の3%(3/86例)で報告され、1例がグレード3以上でした。ペースメーカー植え込みに至った症候性徐脈性不整脈が、アイクルシグ治療を受けた患者の1%(3/449例)で発現しています。

心房細動が最も多く発現した不整脈で、患者の7%(31/449例)で発現し、うち約半数はグレード3ないし4でした。その他のグレード3~4の不整脈イベントには、失神(患者9人、2.0%)、頻脈および徐脈(それぞれ患者2人、0.4%)、QT延長、心房粗動、上室性頻拍、心室頻拍、心房頻拍、完全房室ブロック、心肺停止、意識消失、洞結節機能不全(それぞれ患者1人、0.2%)が含まれています。患者27人で、イベントが入院につながっています。

遅い心拍(失神、めまい)または速い心拍(胸痛、動悸、めまい)を示唆する兆候や症状を示す患者では、アイクルシグの投与を中断して評価を実施します。

骨髄抑制:骨髄抑制がアイクルシグ治療を受けた患者の59%(266/449例)で有害反応として報告され、グレード3/4の骨髄抑制が患者の50%(226/449例)で発現しています。これらのイベントは、CP-CMLの患者よりもAP-CML、BP-CML、Ph+ ALLの患者の方が高い発現率を示しました。重度の骨髄抑制(グレード3ないし4)が治療早期に観察され、発現までの期間の中央値は1カ月(範囲1~40カ月未満)でした。最初の3カ月は2週間ごと、その後は毎月または臨床上の必要に応じて全血算を入手し、推奨事項に従って用量調節を行います。

腫瘍崩壊症候群:アイクルシグ治療を受けた患者2人(1%未満、1人はAP-CML患者、1人はBP-CML患者)が、重篤な腫瘍崩壊症候群を発現しています。高尿酸血症が患者の7%(31/449例)で発現しています。疾患が進行した患者では腫瘍崩壊症候群が発現する可能性があるため、十分な水分補給を必ず行い、アイクルシグ治療開始に先立ち尿酸値上昇の治療を行います。

可逆性後白質脳症症候群(RPLS):市販後調査で可逆性後白質脳症症候群(Reversible Posterior Leukoencephalopathy Syndrome/RPLS、Posterior Reversible Encephalopathy Syndrome/PRESとしても知られている)が、アイクルシグ治療を受けた患者で報告されています。RPLSという神経障害は、発作、頭痛、注意力低下、精神機能異常、失明、その他の視力/神経障害などの兆候や症状を示す場合があります。高血圧症を呈している場合が多く、脳の磁気共鳴イメージング(MRI)における支持的所見により診断を下します。RPLSの診断が下されたら、アイクルシグ治療を中断し、症状が回復して、治療継続によるベネフィットがRPLSのリスクを上回る場合にのみ、治療を再開します。

創傷治癒障害および消化管穿孔:アイクルシグは創傷治癒を妨げる場合があるため、大手術の前は少なくとも1週間にわたってアイクルシグの投与を中断します。重篤な消化管穿孔(瘻孔)が患者1人で胆嚢摘出術から38日後に発現しています。

胚・胎児毒性:アイクルシグは、その作用機序と動物実験での所見に基づけば、妊婦への投与時に胎児に害を及ぼす可能性があります。動物を使った生殖試験では、器官形成期の妊娠したラットに対するポナチニブの経口投与は、推奨用量でのヒト曝露量を下回る曝露量で、発達への悪影響をもたらしています。妊婦に対しては胎児への潜在的リスクにつき助言します。妊娠する可能性がある女性に対しては、アイクルシグ治療期間中と最後の投与後3週間は有効な避妊法を用いるよう助言します。

有害反応
最も多い有害反応:全体として、最も多かった非血液学的有害反応(20%以上)は、腹痛、発疹、便秘、頭痛、乾燥皮膚、疲労、高血圧症、発熱、関節痛、悪心、下痢、リパーゼ上昇、嘔吐、筋痛、四肢疼痛でした。血液学的有害反応には、血小板減少症、貧血、好中球減少症、リンパ球減少症、白血球減少症が含まれます。

副作用の疑いを報告する場合は武田薬品(1-844-T-1POINT (1-844-817-6468))またはFDA(1-800-FDA-1088またはwww.fda.gov/medwatch)に連絡してください。

薬物相互作用
強力なCYP3A阻害剤:併用を避けるか、併用が避けられない場合はアイクルシグを減量します。
強力なCYP3A誘導剤:併用を避けます。

特定集団における使用
生殖能力を持つ男女:アイクルシグは、妊婦への投与時に胎児に害を及ぼす可能性があります。女性には、アイクルシグ治療期間中および最後の投与後3週間は有効な避妊薬を使用するよう助言します。ポナチニブは女性で生殖能力を損なう可能性があり、その影響が可逆的であるかどうかは不明です。アイクルシグの投与開始に先立ち、生殖能力を持つ女性では妊娠の有無を確認します。

授乳婦:女性にはアイクルシグ治療期間中および最後の投与後6日間は授乳しないよう助言します。

米国向け処方情報:http://www.iclusig.com/pi

ニンラーロ(イキサゾミブ)カプセルについて

ニンラーロ(イキサゾミブ)は経口プロテアソーム阻害薬として、多発性骨髄腫の連続的治療過程と全身性軽鎖(AL)アミロイドーシスを対象に研究されています。また経口プロテアソーム阻害薬として初めて第3相臨床試験に入り、承認を取得しました。ニンラーロは優先審査を経て2015年11月に米食品医薬品局(FDA)の承認を取得し、2016年11月には欧州委員会の承認を取得しました。ニンラーロは米国と欧州において、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で、過去に少なくとも1種類の治療を受けている多発性骨髄腫患者の治療を適応としています。ニンラーロは55カ国以上の規制当局より市販承認を取得しています。

イキサゾミブは2011年に米国および欧州の両方で多発性骨髄腫を対象とする希少薬指定を、2012年に米国および欧州の両方でALアミロイドーシスを対象とする希少薬指定を受けています。イキサゾミブは関連する超希少疾患の再発性もしくは難治性の全身性軽鎖(AL)アミロイドーシスに対する画期的新薬の指定を2014年に米FDAから受けました。日本の厚生労働省は2016年にイキサゾミブを希少疾病用医薬品に指定しました。

イキサゾミブの包括的臨床開発プログラムであるTOURMALINEでは計6件のピボタル試験が進行中で、5件は全体として主要な多発性骨髄腫すべての患者集団を、1件は軽鎖アミロイドーシスを検討しています。

  • TOURMALINE-MM1では、再発性もしくは難治性または両方の多発性骨髄腫を対象にレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用でイキサゾミブとプラセボを比較検討しています。
  • TOURMALINE-MM2では、初発の多発性骨髄腫患者を対象にレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用でイキサゾミブとプラセボを比較検討しています。
  • TOURMALINE-MM3では、初発の多発性骨髄腫患者を対象に導入療法および自家幹細胞移植(ASCT)後の維持療法としてイキサゾミブとプラセボを比較検討しています。
  • TOURMALINE-MM4では、ASCTを受けていない初発多発性骨髄腫患者を対象に維持療法としてイキサゾミブとプラセボを比較検討しています。本試験は現在、患者を組み入れ中です。
  • TOURMALINE-MM5では、レナリドミド抵抗性となった再発性もしくは難治性または両方の多発性骨髄腫患者を対象に、イキサゾミブおよびデキサメタゾンの併用療法をポマリドミドおよびデキサメタゾンの併用療法と比較検討しています。
  • TOURMALINE-AL1では、再発性または難治性のALアミロイドーシス患者を対象に、イキサゾミブとデキサメタゾンの併用療法を医師が選択した特定のレジメンと比較検討しています。本試験は現在、患者を組み入れ中です。

患者を積極的に組み入れ中の第3相試験の詳細情報についてはこちらをご覧ください:https://www.tourmalinetrials.com/

TOURMALINEプログラムに加え、世界各国における研究者主導研究により、さまざまな患者集団を対象に、複数の治療薬との併用でイキサゾミブの評価が行われています。

ニンラーロ(NINLARO®)(イキサゾミブ)カプセル:重要な安全性情報(世界向け)

特別な警告および注意
血小板減少症がNINLAROで報告されています(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ28%および14%)。血小板のナディアは一般的に28日サイクルのそれぞれで14日~21日目に出現し、次のサイクルの開始までにベースラインまで回復しました。報告された症例は出血イベントの増加または血小板輸血に至っていません。ニンラーロ治療中は血小板数を少なくとも月1回モニタリングし、最初の3サイクルではさらにモニタリング頻度の増加を検討します。標準治療ガイドラインに従い、投与量の変更および血小板輸血により血小板減少症を管理します。

消化管毒性がニンラーロおよびプラセボの各レジメンで報告されています。毒性は下痢(42%および36%)、便秘(34%および25%)、悪心(26%および21%)、嘔吐(22%および11%)などで、制吐薬や下痢止め薬の使用、および支持療法が必要となる場合がありました。

末梢神経障害がニンラーロで報告されています(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ28%および21%)。最も多く報告されている反応は末梢感覚神経障害(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ19%および14%)です。末梢運動神経障害の報告はいずれのレジメンでもまれでした(1%未満)。末梢神経障害の症状につき、患者をモニタリングし、必要に応じ投与量を変更します。

末梢性浮腫がニンラーロで報告されています(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ25%および18%)。根本原因につき患者を評価し、必要に応じ支持療法を実施します。症状が重い場合、処方情報に従ってデキサメタゾンの投与量を、またはニンラーロの投与量を変更します。

皮膚反応が発現した患者の割合はプラセボレジメンで11%であったのに対し、ニンラーロレジメンで19%でした。いずれのレジメンでも最も多く報告された発疹の種類は斑点状丘疹と斑状発疹でした。支持療法、投与量変更、投与中止により発疹を管理します。

肝毒性:薬物性肝障害、肝細胞障害、肝脂肪変性、胆汁うっ滞性肝炎がニンラーロ投与患者でまれに報告されています。肝酵素を定期的にモニタリングし、グレード3ないし4の症状の場合は投与量を変更します。

妊娠:ニンラーロは胎児に害を及ぼす場合があります。生殖能力を持つ男女の患者に対し、治療中およびニンラーロの最終投与からさらに90日間は避妊法を用いるように助言します。ニンラーロは胎児に害を及ぼす可能性があるため、出産可能な女性は、同薬服用中は妊娠を避ける必要があります。ホルモン性避妊薬を使用している女性は、さらに別の避妊法を用いる必要があります。

授乳:ニンラーロないしその代謝産物がヒト母乳中に排泄されるかどうかは不明です。乳児に有害事象が発現する可能性があるため、授乳は中止する必要があります。

特定の患者集団
肝障害:中等度から重度の肝障害を持つ患者ではニンラーロの投与開始量を3 mgに減らします。

腎障害:透析を必要とする重度の腎障害または末期腎疾患(ESRD)を持つ患者ではニンラーロの投与開始量を3 mgに減らします。ニンラーロは非透析性であるため、透析のタイミングとは無関係に投与可能です。

薬物相互作用
強力なCYP3A誘導薬とニンラーロの併用は推奨されません。

有害反応
ニンラーロレジメンで最も発現頻度が高く(20%以上)、プラセボレジメンよりも多く報告された有害反応は下痢(42%対36%)、便秘(34%対25%)、血小板減少症(28%対14%)、末梢神経障害(28%対21%)悪心(26%対21%)、末梢性浮腫(25%対18%)、嘔吐(22%対11%)、背部痛(21%対16%)でした。患者の2%以上で報告された重篤有害事象には血小板減少症(2%)と下痢(2%)が含まれます。それぞれの有害反応につき、ニンラーロレジメンの患者で3種類の医薬品のうち1種類以上を中止した割合は1%以下でした。

欧州連合向け製品特性概要:http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-Product_Information/human/003844/WC500217620.pdf
米国向け処方情報:https://www.ninlarohcp.com/pdf/prescribing-information.pdf
カナダ向け製品モノグラフ:http://www.takedacanada.com/ninlaropm

武田薬品工業について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502)は研究開発を駆使する世界的製薬企業として、科学の成果を生活に変革をもたらす医薬品に橋渡しすることで、患者の健康を改善して患者に明るい未来をもたらすことに真剣な努力を傾けています。武田薬品はその研究開発活動をオンコロジー、消化器系疾患、神経精神疾患の各治療領域とワクチンに集中させています。武田薬品は革新の最前線に位置するため、研究開発を自社内および提携先との共同で実施しています。特にオンコロジーと消化器系疾患における革新的な製品と、新興市場におけるプレゼンスが、武田薬品の現在の成長を加速させています。武田薬品の約3万人の従業員は、70カ国以上でヘルスケア分野の提携先と協力しながら、患者の生活の質を向上させることに懸命の努力で取り組んでいます。

詳細情報についてはhttps://www.takeda.com/newsroom/をご覧ください。

武田薬品の詳細情報については当社ウエブサイト(www.takeda.com)を、武田薬品工業株式会社のグローバルオンコロジービジネスユニットのブランドであるTakeda Oncologyの詳細情報については本ブランドのウエブサイト(www.takedaoncology.com)をご覧ください。

原文はbusinesswire.comでご覧ください:https://www.businesswire.com/news/home/20181101005805/en/

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

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