藤沢--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- HGST(社長:Mike Cordano (マイク・コルダノ))は、本日、記憶容量6テラバイト(テラは1兆。以下、TB)の3.5型ハードディスク装置(以下、HDD)の「Ultrastar He6」の出荷を開始しました。HGSTは、HP社、Netflix社、Huawei社、CERN(欧州原子核研究機構)、Green Revolution Cooling社、Code42社、およびソーシャルメデイアや検索エンジン企業など主要な業界大手や研究機関と密接に連携して製品開発を進めてきました。2012年9月に、HelioSealTMと呼ぶ新しいシールドドライブのプラットフォームを発表し、TCO(Total Cost of Ownership)を低減しつつ、大容量化を進める道を示しました。空気の7分の1の密度というヘリウムの特性を生かした「Ultrastar He6」は、7StacTMと呼ぶ7枚円板構成で記憶容量6TBを実現し、クラウドストレージ、大規模データセンタ、Disk-to-Diskのバックアップ/複製やRAIDシステム環境向けの製品です。
HGST プロダクトマーケティング ヴァイスプレジデントのBrendan Collins(ブレンダン・コリンズ)は次のように述べています。「企業やクラウドデータセンタではストレージ効率の改善やコスト低減への要求が、かつてないほど高まっています。HGSTは、容量、電力、冷却やストレージ密度など、すべてのレベルでデータセンタ運営のTCOを劇的に改善する新しいソリューションを、これまでと同じ3.5型HDDフォームファクタで実現しました。本日発表した新しいヘリウムを充填したUltrastar製品は、現状のデータセンタ顧客の要求に対応するだけではなく、次世代の技術や将来の製品開発への基礎となるものです。これは大きな製品技術の飛躍であり、この新プラットフォームの開発でお客様をサポートできることをうれしく思います。」
HGSTの革新的でパテント技術のHelioSealプロセスを適用した「Ultrastar He6」は、業界初のヘリウムを充填したシールドドライブで、コスト効率の高い量産を可能にしました。この革新的なシールドプロセスは、HDDの記録密度の伸びを求める市場の要求に対応して開発されました。米IT調査会社のIDCによると、記録密度の伸びは減速傾向にあり2011年から2016年では年率20%以下になると予測しています。HGSTのヘリウムシールドプラットフォームが、新しい技術であるSMR(Shingled Magnetic Recording)やHAMR(Heat-Assisted Magnetic Recording)を支え、さらなる記録密度の向上を図ります。また、ヘリウムプラットフォームは、コールドストレージなどの新しい成長セグメントへの適用も検討されています。HGSTは、今後数年でこのセグメント向けの製品の提供を予定しています。
IDC リサーチヴァイスプレジデントのJohn Rydning(ジョン・ライドニング)氏は次のように述べています。「HDD業界の記録密度の伸びは、企業のデータセンタのストレージ容量の伸びを追随しきれていません。HGSTが新しく開発した、ヘリウムを充填・シールドしたHDDソリューションは、業界初のヘリウムシールドプラットフォームとして、記憶容量の拡大と消費電力、温度の低減を同時に実現した、企業のIT管理者が求める大容量で高エネルギー効率のHDDであり、ストレージシステムのTCO削減を支援するでしょう。」
TCOptimizedTM - ヘリウムでデータセンタのTCOを低減
企業のデータストレージのニーズは飛躍的に高まっているものの、IT予算はそれほど増加されません。6TBの記憶容量、アイドル時の消費電力5.3ワット、640グラムの重量で、他の製品に比べ4~5℃ほど低い動作温度の「Ultrastar
He6」製品は、データセンタのTCOをあらゆるレベルで低減します。現行の5枚円板構成、4TBの記憶容量の3.5型HDD製品と比較した場合:
- 市場で最大容量の6TB、7枚円板構成によるTCO低減
-
容量あたり消費電力の低減
- ドライブ単体でアイドル時で約23%の消費電力低減
- 容量(TB)あたりの消費電力で約49%低減
-
標準3.5型HDDフォームファクタで設置面積当たり
- 50%の記憶容量向上
-
5枚円板構成より軽量化
- 7枚円板構成にもかかわらず50g軽量、50%の記憶容量向上
- 容量あたり重量は38%低減
「Ultrastar He6」で可能になる液冷方式 - 米国で開催のCloud
Expoでデモ展示
データセンタやサーバシステムの設計では、システムの省スペース化のため高密度実装が求められます。使用される部品そのものの発熱量の増大に加え、高密度実装設計により機器内の冷却のための空気流路の確保がますます難しくなっています。液冷方式は、ひとつの解決法として提案されています。空気より密度の高い液体を冷却に使用することで、より安定した動作温度を確保できます。しかし、現行のHDD製品は、HDDそのものは密閉構造ではないため液冷方式を採用することはできませんでした。HGSTのHelioSealプラットフォームは、密閉されたシールド構造であり、非導電性の液体に浸した状態でも動作するため、コスト効率の高い液冷方式が選択できます。米国カリフォルニア州サンタクララで開催中の「Cloud
Expo」において、液冷方式を推進するGreen Revolution Cooling社と連携したデモ展示を行っています。「Cloud
Expo」の詳細については下記をご参照ください。
http://www.cloudcomputingexpo.com/
「Ultrastar He6」の出荷について
本日発表した「Ultrastar
He6」は、出荷を開始しています。
お客様のコメント
HP社 スマートストレージ ダイレクタのJimmy
Daley氏から次のコメントをいただきました。「ビッグデータソリューションのリーダとしてHPは、常にストレージ密度の向上策を検討しています。HGSTの『Ultrastar
He6』との連携により、今日のストレージ需要の増大に対応したコスト効率の高いソリューションの提供を可能とし、引き続きマーケットをリードしていきます。」
Netflix社 コンテント・デリバリー・アーキテクチャ ダイレクタのDavid Fullagar氏から次のコメントをいただきました。「NetflixのOpen Connectデリバリープラットフォームは、ビデオコンテンツ配信のネットワークに最適化されています。15分で数十億時間分のストリーミングビデオを4000万人のユーザに届けています。Netflixとパートナーのインターネットプロバイダの配信システムの効率化に向けて、より良いストリーミング設備の構築に努力しています。低消費電力で高いストレージ密度の『Ultrastar He6』は、我々の設備構築を支援し、お客様に一層喜んでいただけると思います。」
Huawei社 ストレージプロダクトライン プレジデントのFan Ruiqi氏から次のコメントをいただきました。「HuaweiはHGSTとの連携を喜ばしく思います。HGSTは、ヘリウムハードディスクのストレージアプリケーション連携先として、世界有数の情報通信ソリューションプロバイダであるHuaweiを、アジア・パシフィックエリアで選択しました。HGSTの『Ultrastar He6』によって、業界をリードする低消費電力と動作温度を備えた競争力の高い製品ラインを構築することができ、業界標準のシステムと比べ、ストレージ密度を約87.5%も改善することができました。」
CERNの設備計画や調達をまとめるIT部門リーダのOlof Baring氏から次のコメントをいただきました。「過去20年に渡り100ペタバイト以上の物理データを記録してきており、データ量は今後も加速度的に増えていきます。効率的なスケール拡大には、コスト効率が高く、最適TCOのストレージを展開する必要があります。ヘリウムドライブをテストしましたが、電力、冷却およびストレージ密度などの要求項目に関して、我々の期待を大きく上回りました。『Ultrastar He6』の認定試験の機会に大きな刺激を受けました。」
Green Revolution Cooling社の創始者でCEOのChristiaan Best氏から次のコメントをいただきました。「我々のCarnotJet™データセンタ冷却システムは、世界中どこでも高性能でシンプルなデータセンタの構築を可能とします。CarnotJet™技術を採用したデータセンタは、通常のデータセンタの約半分の電力、サーバにおいて10-20%の電力低減、設備の冷却では空冷方式に比べ平均95%の電力を低減します。HGSTの革新的な『Ultrastar He6』製品は、コンテナ単位のストレージ実装密度の向上だけでなく、ドライブ単体の低い消費電力と動作温度によって、大幅な電力と冷却コストの低減ソリューションを提供できます。これにより、我々のお客様のコスト低減策に大きく貢献できます。」
Code24社 クラウドエンジニアリング ダイレクタのDan Mack氏から次のコメントいただきました。「我々のデータプロテクションサービスのCrashPlanは、信頼のバックアップソリューションとしてワールドワイドの多くのお客様にお使いいただいています。HGSTの現行の4TBのエンタープライズ向けHDD製品は、お客様の増大するストレージのニーズに対応するCrashPlanの迅速な拡張に貢献しました。電力と冷却コストを低減しつつ、従来の3.5型HDDと同じ設置面積で、記憶容量を50%向上した新しい『Ultrastar He6』を、現在評価中です。」
■新製品の主な仕様 (注1) |
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Ultrastar He6 | ||||
項目 | ||||
記憶容量 (注2)(注3) | 6 TB | |||
フォームファクタ | 3.5型 | |||
インタフェース | SATA 6Gb/s、SAS 6Gb/s | |||
ディスク回転数 | 7,200 rpm | |||
データバッファ容量 | 64 MB | |||
MTBF | 200万時間 | |||
アプリケーション負荷 | < 550TB/年 | |||
エラーレート(non-recoverable) | 1 in 1015 bits read | |||
ロード/アンロード | 600,000 回 | |||
消費電力 | Idle | 5.3 W (SATA) | ||
5.7 W (SAS) | ||||
Random R/W | 7.3 W (SATA) | |||
8.7 W (SAS) | ||||
騒音 | Idle | 2.0 Bels (typ) | ||
Operating | 3.6 Bels (typ) | |||
円板枚数 | 7 | |||
重量 | 約 640g | |||
省エネ法に |
エネルギー |
0.00089W/GB (SATA) | ||
0.00095W/GB (SAS) | ||||
省エネ法に |
C 区分 |
(注1)仕様は予告なく変更することがあります。
(注2)当社では、HDD業界の慣例に従い、1TBは1,000,000,000,000バイト(1兆)バイト(Byte)、と容量を定義しています。
(注3)本製品は、垂直磁気記録方式を採用しています。
(注4)エネルギー消費効率とは、省エネ法で定める測定方法により測定された消費電力を省エネ法で定める記憶容量で除したものです。
■他社所有商標に関する表示
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